第7話 Île aux cygnes ~partie-2~

【秘密のパリへ連れてって 第7話】白鳥の島〜パート2〜

Bonjour!

フランスダイレクトスクール映像ディレクターのGâsûです。


先週の土曜日に、秘密のパリへ連れてって 第7話が配信されました。


引き続き案内してくれるのは、レイモン先生。

(レイモン先生が何者かについてはこちらをどうぞ)

テーマとなるのは、パリにあるソビエト連邦です。


Pont de Bir-Hakeim(ビルアケム橋)から繋がる白鳥の島の近くには、

日本と、アメリカ(ニューヨーク)と、オーストラリアと、

さらにはソビエト連邦がある!!


という意味不明なことを言っている先生。


そんなわけないやろが

と思っていたのですが、話を聞いてみると理由がなんとなくわかりました。


île aux cygnesから見えるソビエト連邦とは、

フランスの国営放送局が入る円型のビル、


Maison de la radioのことなのです。


Maison de la radioには、いくつかのラジオ放送局が入っています。

さらに、フランス国立管弦楽団とフランス放送フィルハーモニー管弦楽団、

フランス放送合唱団の運営を行っています。

Restructuration de la Maison de Radio France, Paris, par AS.Architecture-Studio



【いつ見ても波乱万丈 フランス政府とメディア界の変遷】


1970年代までは、フランスの全てのテレビ局は国営でした。

1972年の放送法によると、


「フランスのラジオ・テレビは国家の独占物である。」

と明記されているようです。


国営のためもちろんテーマは固く、教育的なものばかり。

視聴率に伸び悩んだ結果、1987年には1チャンネルのTF1が私有化され

民放になり、6チャンネルのM6が登場しました。


一方、国営を貫くフランス・テレビジョンも制作費の補充のため

CMを導入するようになりました。


しかし、広告収益が増えるにつれ、番組内容の質的な低下の問題が

露わになってきたのです。


そこで、2007年に就任したサルコジ大統領が打ち出したのが

国営ラジオ放送の広告を一切排除し、公益費でまかなうという政策。

広告主に左右されない、「質の高い、文化的な番組」を目指すため、


はたまた、社会党や労働組合の見解として、

CM廃止案の裏側では、サルコジ氏が

メディア界で強力な権力を握るための施策があるのではと言われていますが


そんな理由で国営放送における運営体制の一新を目論んだのです。

Nicolas Sarkozy From Wikimedia Commons



おかげさまでフランス・テレビジョン側ではスト多発、

2015年には経営赤字によるリストラ策で、

なんと約1ヶ月もの間業務を放棄、ニュースを流す以外は

音楽を流し続けるというストを起こしました。



日本では考えられないですが、

納得のいかないものには断固Noを!!

という結果が、ストライキという形で表されるフランス。


そしてますます損失が増えていくという悪循環のサイクルです。


【世界における国営放送】


さて、ここで少し話を変えて、世界の国営放送について調べてみましょう。


先に整理をしておきます。

国営放送と公共放送は異なります。


国営放送・・・運営資金が国家から拠出されていて、政治的な宣伝や鼓舞といったものが多いのが特徴。

公共放送・・・公共企業体や、地方自治体など、国家以外の公的機関により運営される放送局による放送。


日本の公共放送では、NHKが公共の放送局として有名ですね。

NHKって、国営じゃないの??と思う方も多いと思いますが

正確には、公共放送なのです。


ただ、その事業予算が国会の総務委員会や本会議で承認が必要であったり

経営は番組の編集方針に与党が関与したりするなど、

国営と思われても不自然じゃないほど国と大きく関わりがあります。


世界で有名な、国営放送について挙げてみましょう



上の地図は一部ですが、それぞれ特徴を持っています。

政治的な意味を持つものが多いのですが、とりわけフランスの国営放送は

チャンネル数、内容ともに充実していて、

文化や教育関連のコンテンツが非常に豊富なのがフランスらしいです。



といっても、国の支配下にある国営ラジオ局。


赤字が続いて理不尽なリストラ策を急に国から告げられ

怒って仕事を放棄する従業員たちと


国の教育や文化発信のためといって財源を税金に頼る

官僚たちの考えはいつまでもぶつかるばかり。


雇用者の権利を結果的には国が封じ込める形になり、

教育のため、フランスのイメージアップやPRのために国民の税金が徴収される。

そこに納得がいかない人が多いのも仕方ないでしょう。


国家社会主義、レイモン先生が表現した

パリにあるソビエト連邦とはこのことなのではないかと

推測しています。


でも、もっと深く調べていけば、

他にも様々な見解が出てくるかもしれません。



【レイモン先生オススメのFRANCE INFO】


経営に関しては渦中にあるフランス国営ラジオ局ですが、

レイモン先生イチオシの番組があります。


それが、FRANCE INFOです。

私も個人的に好きでよく聴いているので、以前アメブロで紹介したのですが

インターネットでもライブ放送をしていたり、

幅広いジャンルの情報を取り扱っていて、動画も多く

フランス語を学んでいる人にはとても有益なコンテンツが盛りだくさんです。


こちらに今話題のニュース

"Panama Papers"についてのスタジオ放送があったので載っけます


ニュースは日々更新され、写真や関連ニュースにも

リンクしやすく、毎日見ると面白いです。


時事的な内容のフランス語は難しいですが、

フランス語力のアップにもつながりますので

是非、毎日1記事だけでもトライして読んでみてください。


Maison de la Radio

116 Avenue du Président Kennedy, 75016 Paris,

Métro

Ligne 6 station Passy

Ligne 9 station Ranelagh

ligne 10 station Javel-André Ci troën



レイモン先生が紹介する、フランスのメディアや建築について

日本語で聞いてみたい方はこちらに登録いただくとプレゼントでもらえます!

Emmène-moi à la découverte de Paris

フランスダイレクトスクール映像教材「秘密のパリへ連れてって」

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