第10話 Deux bâtiments qui relient Paris et le Japon

【秘密のパリへ連れてって第10話 2つの建物をめぐるパリと日本の関係】

みなさまこんにちは。

フランスダイレクトスクール映像教材ディレクターの

Gâsû です。


ちょっと更新が遅れてしまいましたが

7日の土曜日に配信された秘密のパリへ連れてって

第10話についてお話ししたいと思います。


個人的な話ですが

今山形におりまして

友人の結婚式が終わったところです。



今日はとにかく晴天で

我が友人ながら本当に美しいお姫様のようでした。


日本の結婚式のあり方も多様化してますが

誓いを交わし、みんなに認めてもらい

祝福に包まれる幸せというのは


本当に特別なものだなあと

思った次第です。




さて、ハッピーの余韻に浸りながら


話を戻しまして

今回ご紹介したのは


見た目全然パリらしくない

オリエンタルな建物と


まさにこれぞパリの教会!!

的な荘厳で美しい教会という


全く異なる2つの建物についてです。


そのうちの1つ、

とある "閉ざされた映画館" について

まずはご紹介します。



【お金と権威で愛は買えなかった?皮肉な愛の物語】


La Pagodeという名の、

寺院のような風貌と日本風庭園を持つ

この建物は


しばらくの間映画館として

多くの人に親しまれてきました。


が、今はワケあって閉まっております。




この建物の物語は、1896年から始まります。


1896年に建築家のアレクサンドル・マルセルが

デザイン、設計し完成しました。


ちなみに彼はアジアティックな、

とりわけ中国ティックな建築を得意とし


万博のパビリオンなどを

数多く手がけています。


 Laeken (Belgique), le pavillon chinois 




La Pagodeと呼ばれるこの建物は、

先日ご紹介した老舗デパートボン・マルシェの

経営者の一人であった


エミール・ムーランという人が

晩餐会などを開くレセプション用の場所として

愛する妻、マダムムーランのために贈りました。



言ってみればブルジョアの夜遊びのために

庭園付きの白を構えるわけですから


当時のボンマルシェの勢力と

ブルジョアの権力の象徴とも言えるのかもしれません。


こちらは1967年のLa Pagodeの写真です。

見た目はラストエンペラーのロケ地とも

言えなくはない(?)立派な風格です。


外壁にはフランス語で2sallesと書いてあり

周りに止まっている車は

小型のシトロエンかしら?


レトロカーがかわいいですね。


実はせっかく愛する妻が

喜ぶと思って立てたのも虚しく


ムシュームーランの元を

あっさり去って


晩餐会で出会った有力な実業家と
アムールの旅に出てしまったマダムムーラン。


愛とは、お金とは

権力とはなんなのでしょうか


今日の結婚式とは対極の

ショッキングな出来事ですね。


しかしながら結果的に

このLa Pagode は映画館として

多くの著名な芸術家に注目され


一時的には、成功を納めるのです。



【豪華絢爛な映画館に変身】


La Pagodeが一般公開されるようになったのは

1931年のことです。


オリジナルの映画を上映していましたが

1940年代からはアメリカ映画、

50年代にはアール・エ・エッセーの映画館として



イングマール・ベルイマン

エイゼン・シュテインなどの巨匠が

賞賛していたというから


この映画館の輝かしい過去が

伺えますね。


そして60年代には入ってからは

ヌーヴェルヴァーグの代表格

フランソワ・トリュフォー



エリック・ロメール、

ジャック・ドゥミなどなど


名監督たちが

自らの映画作りの映画館なのです。



【栄枯盛衰、冬眠期間へ】


そんな華々しい過去を持つ

由緒ある建物が


すっかり閉まりきって

今やなんだか鬱蒼とした雑林のような

庭に変わってしまったのは


なぜだったのでしょうか。



レイモン先生による簡単な理由では


il y a eu quelques problèmes, comment dirais-je, 

relationnels et financiers entre la propriétaire...


「ある種の、なんていうんでしょうか

所有者の財政関係の問題で」




ということで

要は利益があんまり出てないし

とりあえず一旦閉めちゃおっかな


ということで

昨年の11月にその玄関を固く閉ざして

今に至ります。


しかしながら希望はあります。

ここは歴史的建造物に指定されており


文化的に非常に価値の高いもの

と認められているのです。


だから

アール・エ・エッセーの

由緒ある映画館として復活することを


きっと望んでいる人は

少なくないでしょう。



次にパリに行ったときは、

豪華絢爛な貴族社会を垣間見つつ

シネマ鑑賞を楽しみたいものです。



La Pagode

57 Bis Rue de Babylone, 75007 Paris


Emmène-moi à la découverte de Paris

フランスダイレクトスクール映像教材「秘密のパリへ連れてって」

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